末摘花の帖 | SUETSUMUHANA

主人公、ゲンジ十八歳の正月から十九歳の正月までの一年間。

 若紫 …… 十一歳


これまでのあらすじ

 主人公、光ゲンジは皇帝の息子である。彼の母親は桐壺更衣と呼ばれた、なかなかの美人だった。あまりにも帝が溺愛したため、周りの妾たちから反感を買った桐壺更衣は、いじめの心労から夭逝してしまう。幼くして私生児となった光ゲンジは、信じられないほどの美貌と才能を武器に、後宮を騒がせる貴公子に成長するのだった。帝は光ゲンジを皇帝の後釜に据えたかったのだが、占い師の助言により、源氏姓を与え臣籍に下した。

 桐壺更衣の死後、帝がふさぎ込むので後宮も沈んでいた。しかし藤壺女御が後宮に入内すると、再び華やぐ。何と藤壺女御は桐壺更衣に瓜二つなのだった。幼くして母親を亡くした光ゲンジは、次第に藤壺更衣に惹かれ、挙げ句の果てには理想の女性像までに祭り上げてしまう。世間は、この二人を「光る君、輝く宮」と呼んだ。

 光ゲンジは元服後、左大臣の娘であるアオイを正室に迎える。これは、私生児同然だった彼に、左大臣家という強力な後見人ができたことを意味する。左大臣の息子を皇子の嫁にと考えていた右大臣家の人々(特に弘徽殿女御)は、光ゲンジを忌々しく思うのだった。

 物忌の雨の夜、光ゲンジの部屋に貴公子たちが集まり、恋愛談義に花が咲く。話題は中流階級の姫君の話で盛り上がった。中でも、光ゲンジは、アオイの兄である頭中将が話した、内気な常夏の女(夕顔)の話に興味を持つ。これが「雨夜の品定め」である。

 中流階級の女に興味を持った光るゲンジは、地方官僚の後妻である空蝉と関係を持ってしまうのだった。空蝉は光ゲンジとの関係を後悔し、恋の泥沼を恐れて拒み続ける。光ゲンジは空蝉の弟をそそのかし、再び空蝉を襲うのだが、空蝉は夏衣を一枚残して逃げたのだった。空蝉は自らの境遇を情けなく思い、和歌をなぞって運命を重ねた。

 空蝉に逃げられて傷心の、光ゲンジは、六条の貴婦人のもとへと密通するついでに、病気である乳母の、コレミツの母を見舞う。コレミツは光ゲンジの家来でもある。光ゲンジは、コレミツの家の隣に白い花の咲く家を発見し、この家の女主人に興味を持った。女の童が扇の上に白い花を乗せて差し出すと、そこには意味深な歌が書いてある。お互いの正体を隠したまま密通がはじまった。満月の夜、光ゲンジは女を誘って、ある荒ら屋に連れ込む。その夜、光ゲンジは可憐な女に心を奪われるのだが、なんと深夜に悪霊が現れ、女を呪い殺してしまうのだった。コレミツの協力により女の密葬を済ませると、光ゲンジも病に倒れる。病気の回復後、女に付き添った女官の右近から亡き人の正体を聞くと、頭中将の愛人、夕顔なのだった。

 光ゲンジは、わらわ病の治療のため、北山の聖を訪ねる。そこで、明石に住む入道とその秘蔵娘の話を聞くのだった。光ゲンジは入道の堅物ぶりに興味を持ち、その姫君のことが気になった。

 病快復の祈祷のついでに、光ゲンジが北山の僧坊を覗いてみると、品の良い尼君と、なかなかの女官、そして可愛い少女を発見する。その少女が、憧れの人、藤壺女御にそっくりなのだった。事情を聞けば、少女は藤壺女御の姪という血筋である。光ゲンジはこの少女を手に入れて、自分の思い通りに教育してみたいと思った。

 或日、藤壺女御が療養のため実家に下がった。その隙に、光ゲンジは藤壺女御と二度目の関係を持ってしまうのだった。なんとその後、藤壺女御は光ゲンジの子供を身籠もってしまう。藤壺女御は自分の運命を呪い、帝を裏切ったことに心を痛めた。

 北山の尼君が、幼い姫君を残して病死する。光ゲンジは、この少女を引き取りたいと申し出るのだが、まだ結婚できる年齢ではなく、似つかわしくないと悉く断られてしまう。少女は父の兵部卿宮のもとへ引き取られることになった。

 父宮が、少女を引き取る日の朝、光ゲンジは少女を強引に誘拐する。そして二条院に囲い、教育を開始するのだった。この姫君は、藤壺女御と縁のある血筋なので、若紫と呼ばれた。

 

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末摘花(関係図)

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