2009-03-29から1日間の記事一覧

第十七段

■ 原文 山寺にかきこもりて、仏に仕うまつるこそ、つれづれもなく、心の濁りも清まる心地すれ。 ■ 注釈1 心の濁り ・この世での欲求や煩悩。 ■ 現代語訳山寺にこもって、ホトケ様をいたわっていると「ばかばかしい」と思った気持ちも消え失せて、脳みその汚…

第十六段

■ 原文神楽こそ、なまめかしく、おもしろけれ。 おほかた、ものの音には、笛・篳篥。常に聞きたきは、琵琶・和琴。 ■ 注釈1 笛 ・神楽に使う大和笛。参照:笛 - Wikipedia2 篳篥 ・中国から伝えられた竹の笛。参照:篳篥 - Wikipedia3 琵琶 ・雅楽に使う…

第十五段

■ 原文いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目さむる心地すれ。そのわたり、こゝかしこ見ありき、ゐなかびたる所、山里などは、いと目慣れぬ事のみぞ多かる。都へ便り求めて文やる、「その事、かの事、便宜に忘るな」など言ひやるこそをかしけれ。さやう…

第十四段

■ 原文和歌こそ、なほをかしきものなれ。あやしのしづ・山がつのしわざも、言ひ出でつればおもしろく、おそろしき猪のししも、「ふす猪の床」と言へば、やさしくなりぬ。 この比の歌は、一ふしをかしく言ひかなへたりと見ゆるはあれど、古き歌どものやうに、…