序文
■ 原文
つれづれなるまゝに、日くらし、硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
■ 注釈
1 つれづれ
・(形容詞ナリ)何もすることが無くて手持ちぶさたな様子 などと古語辞典には書いてあるのだろう。しかし、兼好法師は本当に「つれづれ」であったのだろうか? 今となっては兼好法師に聞いてみることもできないので不明である。「何もすることがなくて書き始めたエッセー」というのは、かけがえのない生命の一回性を書く芸術でもあると、ぼくは思う。
参考:MSN Japan - ニュース, 天気, メール (Outlook, Hotmail), Bing検索, Skype
2 吉田兼好
・鎌倉時代から南北朝時代の随筆家・歌人。本名は卜部兼好(うらべかねよし)。兼好法師とも。
■ 現代語訳
ムラムラと発情したまま一日中、硯とにらめっこしながら、心の中を通り過ぎてゆくどうしようもないことをダラダラと書き残しているうちに、なんとなく変な気持ちになってしまった。