2009-07-11 第百七十六段 つれづれ草 下 ■ 原文黒戸は、小松御門、位に即かせ給ひて、昔、たゞ人にておはしましし時、まさな事せさせ給ひしを忘れ給はで、常に営ませ給ひける間なり。御薪に煤けたれば、黒戸と言ふとぞ。 ■ 注釈1 黒戸 ・清涼殿の北廂から弘徽殿までの西向きの戸。ここを黒戸の御所と呼ぶ。参照:清涼殿 - Wikipedia2 小松御門 ・光孝天皇。仁明天皇の第三皇子。参照:光孝天皇 - Wikipedia ■ 現代語訳清涼殿の黒戸御所は、光孝天皇が即位した後、かって一般人だった時の自炊生活を忘れないように、いつでも炊事ができるようにした場所である。薪で煤けていたので、黒戸御所と呼ぶのである。