2009-04-23から1日間の記事一覧

第九十八段

■ 原文尊きひじりの言ひ置きける事を書き付けて、一言芳談とかや名づけたる草子を見侍りしに、心に合ひて覚えし事ども。一しやせまし、せずやあらましと思ふ事は、おほやうは、せぬはよきなり。一後世を思はん者は、糂汰瓶一つも持つまじきことなり。持経・…

第九十七段

■ 原文その物に付きて、その物をつひやし損ふ物、数を知らずあり。身に蝨あり。家に鼠あり。国に賊あり。小人に財あり。君子に仁義あり。僧に法あり。 ■ 現代語訳その物に寄生し、それを捕食し、結果的に食い尽くしてしまう物は、佃煮にするほどある。身体に…

第九十六段

■ 原文めなもみといふ草あり。くちばみに螫されたる人、かの草を揉みて付けぬれば、即ち癒ゆとなん。見知りて置くべし。 ■ 注釈1 めなもみ ・やぶたばこ。参照:http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%82%84%E3%81%B6%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93…

第九十五段

■ 原文「箱のくりかたに緒を付くる事、いづかたに付け侍るべきぞ」と、ある有職の人に尋ね申し侍りしかば、「軸に付け、表紙に付くる事、両説なれば、いづれも難なし。文の箱は、多くは右に付く。手箱には、軸に付くるも常の事なり」と仰せられき。 ■ 注釈1…

第九十四段

■ 原文常磐井相国、出仕し給ひけるに、勅書を持ちたる北面あひ奉りて、馬より下りたりけるを、相国、後に、「北面某は、勅書を持ちながら下馬し侍りし者なり。かほどの者、いかでか、君に仕うまつり候ふべき」と申されければ、北面を放たれにけり。勅書を、…